おがさわら丸の出港風景。
小笠原においての名物風景でもあり、一度でも島を訪れたことのある人なら、忘れられない感動の思い出となっていることでしょう。
乗船開始の頃から船が港を離れるまでは、たくさんの人が港に集まります。
ゲストを見送る、宿やガイドサービスのスタッフ。
『リゾートバイト』等、短期間一緒に働いた仲間を見送る若者。
転勤により離島する家族を見送る公務員やその家族。
etc…
島を離れる人と島に残る人が港で最後のあいさつを交わし、離島する人たちはおがさわら丸に乗船した後、船のデッキに出てきます。
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船上と港、というわずかに線の引かれた位置で手を振りあいながら、ボディランゲージでもう一度、別れののあいさつ。
出港10分前にドラが鳴り、短い汽笛と共に船が港を離れると、ダイビングやドルフィンスイムなどのツアー船がおがさわら丸に併走して、湾口まで見送ります。
たくさんのドラマが見られる瞬間。
この島の生活の中で、大好きなシーンのひとつです。
東京・竹芝桟橋から1000キロの距離。
いまは24時間で渡れるようになったこの航路、かつては50時間以上かかっていました。
『こんなに遠いところまで来てくれてありがとう』という気持ちがいまも受け継がれているのですね。
この見送り風景のなかに、ステキなおまじないがあります。
ティ―リーフで編まれたレイ
島から離れる人へ、島に残る人が一緒に過ごした想いを込めて編み上げて、乗船前に首にかけてプレゼント。
船が短い汽笛と共に港を離岸し、1000キロの航海に向けて少し長い汽笛を鳴らしながら前進する頃、プレゼントされた方はそのレイを船の上から海へ向かって放ちます。
レイがビーチへたどり着いたら、ふたりはもう一度ここで会える というおまじない。
レイは、ティーリーフという葉っぱを使って編み上げます。
一緒に過ごした想いを渡すとき。
受け取ったその想いを島へ託すとき。
目には見えないたくさんの想いが、船と港の間にあふれます。
船から放たれたレイが水面に落ちた瞬間に、そのたくさんの想いが広がります。
この島では別れる時に、『さようなら』と言いません。
挨拶は、『いってらっしゃい』
いつか『おかえり』『ただいま』と挨拶を交わす日を願って。
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