朝の散歩をしながら、最近とっても気になることがありました。
『ウグイスの鳴き方が昔と違ってる!』
『そんなことってあるの!?』
『いつから変わったの!?』
何度も立ち止まり、耳をすませ、頭の中がはてなマークでいっぱい。
仕事も手につかない!
それは言いすぎ(笑)
私の子どもような質問にいつも付き合ってくださる、島内で鳥に詳しい方に聞いてみましたが、『そこまではわからないなー。。。』というお答え。
そこで、鳥の大先生・川上和人さんにお話を伺ってみました。
小笠原ハシナガウグイスはホーホケキョって鳴かない!?
私が島に来たばかり(1998年)の頃
『小笠原のウグイスって【ホーホケッ】までで、【キョ】って言わないよね。』
という話をしていました。
イルカに恋して、ダイビングのプロになるために小笠原へやって来た私。
目的のフィールドは海でしたが、この自然豊かな島への滞在が長くなるにつれて、いままで見たことも感じたこともなかったたくさんのことに興味を持つようになっていったのです。
小笠原のウグイスは小笠原固有亜種
小笠原に住んでいるウグイスは『オガサワラハシナガウグイス』といって、本土に住んでいるウグイスとはちょっと違います。
一般的なウグイスよりも少し小柄でくちばしが長いのが特徴です。
・・・私は本土に住んでいた頃にウグイスを見た記憶がないのでよくわかりませんが(笑)くちばしが長いから『ハシナガ』なんですね。
ウグイスの鳴き声って、一般的には『ホーホケキョ』です。
鳥に特別な興味を持っていなかった私でも、それくらいは知っています(笑)
でも、森を歩いていて聞こえてくるのは『ホーホケッ!』
え? ちゃんと『キョ』まで言ってよ!
そんな突っ込みをしながら森を歩いていました。
それが!
最近、運動不足解消のために朝の散歩をするようになってから『キョ』っていう鳴き声が聞こえてくるようになったのです!
『ホーーーホキョ』
『ホーーーホイキョ』
『ホーキョキョ』
あれ!?ウグイスが『キョ』って言ってる!?
立ち止まり、耳をすませてみると
『ホーーーホヶキョ』(ケはちいさめ)
って鳴いている声も聞こえてきます。
小笠原ハシナガウグイス、いつから『ホーホケキョ』って鳴けるようになったの!?
ウグイスは鳴き声を変化させることができる!?
今回お話を伺ったのは森林総合研究所主任研究員であり鳥類学者の川上和人さん。
足しげく小笠原へ通う、鳥の大先生です。
ウグイスの鳴き声が変わることってあるんですか?
スズメ目(ウグイス・メジロ・ヒヨドリなど)・オウム目・ハチドリ目は、練習したり学習したりして鳴き声を変化させることができます。
このため、ちょっと変わった鳴き方をする個体が出てきたり、他の個体の鳴き声をマネしたりして、鳴き方に地域差や時代差ができたりすることはあります。
すべての鳥がそういうわけではないのですか?
タカやフクロウ・ニワトリの仲間などは、遺伝的に鳴き声か決まっているので学習によって短期的に鳴き声が変わるということはありません。
突然変異が起こったり、長い年月をかけて変化することはありますが。
ウグイスの鳴き声が変わるっていうのは前提としてあり得るっていうことです!
ウグイスの鳴き声が変化するとき
では、鳥たちはどんなときに鳴き声が変化するのでしょうか?
ハワイにおもしろい例があります。
ウグイスってハワイにもいるんですね?
ハワイのウグイスは、日本から持ち込まれました。
彼ら鳴き声は『ホーホケキョ』ではなく『ホーホケッ』となっているようです。
わぁ!小笠原のウグイスみたい!
ハワイではウグイス同士の競争が激しくないので、鳴き声が単純化したのではないかと考えられています。
これは、ウグイスが持ち込まれてから80年以内に起こっています。
鳴き声が単純化?
逆に鳴き声が複雑化というのは『ホーホケキョ』と美しい鳴き声になることだととらえてください。
鳥が鳴くのは、求愛と縄張りの主張のため。
美しく『ホーホケキョ』って鳴くことで、メスにアピールしているのです。
競争相手が少ないと、『もっと美しい声を出して彼女を奪われないようにがんばらなきゃっ!』っていう緊張感がうすくなるっていうことですね。
小笠原ハシナガウグイスのオスたちは、競争相手が少ないからって歌声練習をさぼってきたっていうことかしら?
女性に対して怠慢だなぁ。。。(笑)
父島内で競争が激しくなれば、鳴き声がきれいな『ホーホケキョ』になってもおかしくないということになります。
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恋敵(こいがたき)が多くなると、モテるために美しい鳴き声で歌うようになる
では、ウグイスの競争が激しくなるってどういうことでしょう?
競争が激しくなるというのは、資源に対して密度が濃くなるということです。
ちなみに本土のウグイスは一夫多妻で、小笠原では一夫一妻が多いようです。
でも、小笠原で魅力的なオスが現れたら一夫多妻になるかもしれませんね。
ウグイスの鳴き声が複雑化してきた(美しい鳴き声に変化してきた)っていうことは、小笠原ハシナガウグイス社会において競争が激しくなってきたっていうことでしょうか。。。?
考えられるシナリオとしては、ネコの排除などです。
近年父島で野ネコが排除されたことでウグイスの密度が高まり、オス同士の闘争が激しくなって、より洗練されたさえずりが生じているのかもしれません。
野ネコ排除作業は、絶滅危惧種の鳥を守るための取り組みとして行われてきました。
実際にそういったことが起こっているのかどうかはわかりませんが、ウグイスの鳴き声が変わったという印象があるなら、その背景には雄間闘争を激しくするようなメカニズムがあったのかもしれませんね。
川上さん、とってもわかりやすい解説をありがとうございました!
『学者ってお堅い。。。近寄りがたい。。。』という思考を吹き飛ばしてくれる、汗と笑いの詰まった川上さんのエッセイはこちらから↓↓↓
ウグイスの鳴き声が上手になったのはオスが洗練されてきた証拠!
森の中で耳を澄ませていると、ウグイスのいろいろな鳴き声が聞こえてきます。
ホーーーホィキョ
ホーーキョキョ
ホーーーホヶキョ
(あ!この子上手!)
ホーホケッ
(この声!まだいるんだ!)
ウグイスたちのいろいろな声を聞きながら【小笠原ハシナガウグイス界】の恋愛模様を想像しつつの森歩き。
自然と笑みがこぼれます。
小笠原の森に入ったらぜひ、耳をすませてみてくださいね♥
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