小笠原諸島は世界自然遺産の島です。
ここに住んで自然界に触れていると【小笠原固有種】という言葉をよく耳にします。
【小笠原固有種】とは、地球上で小笠原諸島だけに生息する動植物。
【アカガシラカラスバト】も、地球上で小笠原諸島のみに生息する鳥なのです。
1990年代には『まぼろしの鳥』と言われ、絶滅が危惧されていた【アカガシラカラスバト】
その生息数を10年間で10倍に増やした人々と、その取り組みをご紹介します。
アカガシラカラスバトって、ハトなの?カラスなの?
初めて『アカガシラカラスバト』という名前を聞いた人からよく聞かれる質問です(笑)
さほど鳥に興味のなかった私も初めて耳にした時には同じように思いました。
*分類 ハト目 ハト科
アカガシラカラスバト
学名 Columba janthina nitens
絶滅危惧ⅠA類(環境省第4次レッドリスト)
*分布及び個体数 小笠原諸島に分布。
全体で数十羽程度と推定
鳥類学的に『カラスバト』という種類があるんですね。
体は黒っぽくて光沢があり、首周りが緑色で頭が赤紫色、ハトにしてはカラフルです。
頭の赤いカラスバトだから『アカガシラカラスバト』っていう名前なのです。
音楽活動を介してなかよくなった方が、この島だけに生息している動植物を守ることに使命感を持ち、東京都の職員を辞めてまでNPOを立ち上げました。
その方の語り口調と意気込みに引き込まれたことから、私も興味を持つようになりました。
2005年、世界に40羽しかいない鳥・アカガシラカラスバトの保護が始まった
当時(2000年頃)アカガシラカラスバトは進んだ調査もされていなく、個体数も40~60羽しかいないと言われていました。
固有亜種に分類されている鳥ですから、この島に40羽しかいないということは世界に40羽しかいないのです。
かつて天敵のいなかった森の中に、人が持ち込みやがて野生化してしまったネコが現れ、敵がいることを知らないハトたちが次々と襲われた結果、数が減ってしまいました。
以前同じような理由で絶滅してしまった鳥たちもいるので、
このまま放っておいたら、いまここで生活している自分たちがこの鳥を絶滅させてしまう!
これ以上希少な鳥を絶滅させるわけにはいかない!
と、NPO法人『小笠原自然文化研究所』のスタッフ3人はいろいろな機関へと働きかけ続けました。
野生のネコからアカガシラカラスバトを守り、ハトもネコも助ける
そんな折、2005年に母島でカツオドリやオナガミズナギドリという海鳥のコロニー(繁殖地)付近で海鳥の死骸がたくさん発見され、調査が行われます。
設置したセンサーカメラに写っていたのは、自分よりもはるかに大きいカツオドリを加えたネコの姿でした。
その衝撃的な写真に行政も動き出し、野生化したネコの捕獲作戦が始まります。
ネコを捕獲するための籠が設置されたり、そのエリアにネコが入り込めないように柵を立てたり。
自分たちの住む島の自然を守ろうと、多くのボランティアも集まりました。
そして、囚われたネコたち。
そのネコたちを安楽死させる方法を東京都獣医師会に相談すると、帰ってきた言葉は
「野生動物は小笠原でしか生きられないけれど、ネコは都会でも幸せになれるはず。どちらの命も救いましょう」
定期船・おがさわら丸の協力を得て捕らえられたネコが搬送され、東京では東京獣医師会の方が彼らを引き受けて里親探し、という連係プレーが始まりました。
みんなで守ろう『あかぽっぽ』
2008年には『アカガシラカラスバト保全計画づくり国際ワークショップ』が開催。
地元で自然保護に関わる人や行政、海外からの専門家やファシリテーターなど120人が集い、3日間缶詰め状態でのディスカッションが行われました。
ワークショップで得られた結果は
これは、住んでいる人々全員の協力が必要となります。
島民全員に興味を持ってもらうための活動も行われ『アカガシラカラスバト』という覚えづらい名称に変わり
『あかぽっぽ』
という愛称も生まれました。
絶滅危惧種のアカガシラカラスバト、個体数は10年間で10倍に
国際ワークショップから、10年が経ちました。
アカガシラカラスバト? 聞いたことはあるわ。
という人がほとんどだった10年前に比べ
あかぽっぽがいたよ!
と小さな子どもが言えるほどに。
山あいに住んでいる私は、彼らの歌声で目覚めることもあります。
母島では、こんなシーンも見られました(笑)
<写真参照 小笠原ネコプロジェクト・これまでの成果>
調査を続けてきた方に聞いてみたところ、現在の個体数は400~500羽くらいではないかとの回答でした。
10年かけて、個体数が10倍にもなるってすごいことです!
住んでいる人々が、自分の住んでいる島を好きだからこその結果だと思います。
まだまだ絶滅危惧から外れる数ではありませんが、この島を愛する方々が住み続けていく限りは彼らの命も繋いでいけると信じています。
小笠原の森の中に入ったら、ぜひ耳を澄ませてみてください。
彼らの歌声が聞こえるかもしれませんよ♪
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