【シダ】って美しいですよね。
観葉植物としてカフェやオフィスに・・・お家で育てている方も少なくないと思います。
その美しいシダも亜熱帯という気候の中ではとても大きくなって、樹木状の大きさにまで成長する種類があります。
それが【木生シダ】と呼ばれる類。
その中にはなんと、世界中でここ小笠原にしかない【木生シダ】があります。
今回は、近所の森で原始の時代へのタイムトリップ気分を味あわせてくれる巨大シダ植物【マルハチ】をご紹介します。
シダ植物は原始的植物
シダ植物には、花が咲きません。
花が咲かないので、種もつきません。
葉の裏側に【胞子】をつけ、それを飛ばして子孫を広げていくのです。
植物の歴史の中で、シダ類は藻類・コケ類の次に地球上に出現しました。
時代をさかのぼること…なんと3億5千万年前!
3億5千万年前って言われてもうまく想像できませんが(笑)、地球上に恐竜が現れるよりもずっと前から生きているっていうことです。
すごーい!
・・・中学や高校での生物の授業は退屈だったけど、それらを目の前に見ているいまは興味津々(笑)
現在【小笠原諸島】と呼ばれている島々が地球上に現れたのは4800万年ほど前だと言われています。
その頃には恐竜の時代も終わっていますが、いま目の前にあるシダ類たちは小笠原諸島が地球に現れる前から生きているのです。
そう考えると、感慨深いですね♥
ちなみに、春の山菜・ワラビやゼンマイも同じシダの仲間なのですよ☆彡
ゴールデンウィーク前後になると、【ワラビ採り】は小笠原島民のレクリエーションにもなります。
木生シダは熱帯~亜熱帯に分布
シダ植物の中でも樹木状になる【木生シダ】は、熱帯から亜熱帯地域に生息します。
国内では、ここ小笠原や鹿児島県南部~琉球列島に分布。
樹木の豊富な紀伊半島や四国南部の気候では、木生シダまでは育たないようです。
その新芽はなんだか動物的で、命の力強さを感じさせられます。
小笠原固有の木製シダ【マルハチ】
【マルハチ】と聞いたら、神戸・大阪近隣の方はスーパーマーケットをイメージするかもしれないし、世代によっては布団をイメージするかもしれませんね(笑)
小笠原で【マルハチ】と言ったら、世界中でここにしかない木生シダです。
名前の理由は、幹についた葉痕(ようこん)
葉が落ちるたびに幹に付いていく跡が、㊇を逆さまにしたカタチなのです。
・・・学者さん、単純な名前をつけてくれましたね(笑)
世界中には1万1千種類以上のシダ植物があるのに、【マルハチ】が生息するのは小笠原だけ。
そう考えると貴重な存在ですよね。
突然変異で産まれたのかもしれないし、他の木生シダが変化しながら現在のカタチになったのかもしれません。
森の中でマルハチに出会うと、彼らの向こう側に地球の長い歴史が見えるような気がします。
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ところで小笠原固有種って?
小笠原に住んでいると、『固有種』っていう言葉をよく耳にします。
小笠原固有種とは、世界中で小笠原にしかいない動植物のことです。
小笠原諸島は海底火山の噴火によってできた島で、海上に姿を現したときには真っ黒な溶岩のかたまりでした。
大海原に、ポツンと現れた岩のかたまり。
現在の【西ノ島】のような状態ですね。
そこへ、風で飛んできたり鳥に運ばれてきたり海を渡ってたどり着いた植物が、太陽の光と雨水などの水分を得て成長します。
植物としての命を終えたあとに土となり、そこでまた新しい植物が育まれる・・・
そういったことが長い年月をかけて繰り返されるなかで、小笠原の気候や土壌にあわせて変化する種もでてきます。
もともとたどり着いた種の子供⇨孫⇨ひ孫と世代をつなぐ中で変化(適応)し、やがては小笠原オリジナルの植物となってきたのです。
植物においては、なんと3割以上が小笠原固有種。
小笠原に自生する植物の3割以上は、世界中で小笠原にしかない植物なのです。
小笠原は東京都にある【原始の楽園】
地球上にシダ植物が誕生したのは、恐竜時代よりも前の3億5千万年前。
その原始的な植物に、裏山へちょっと入っただけで出会うことができます。
人間よりも、ずっとずっと長い歴史を持つシダ類。
彼らが集う森は、原始の楽園と言えるでしょう。
ここが大都会・東京の一部なんて、不思議ですね(笑)
科学的な音のない森の中で耳を澄ますと、太古から続く彼らのおしゃべりが聞こえてきますよ❤
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