【タコノキ】って聞いたらどんな木を思い浮かべますか?
私が小笠原へ来るきっかけはダイビングとドルフィンスイム・・・興味は海だけだったので、タコと聞いて思い浮かんだのは海中に住む蛸(たこ)でした(笑)
タコノキ=蛸の木??
でもなんと、その発想は正解だったのです!
タコノキとは
写真のとおり、木の根元が蛸の足ようにたくさん広がっていることが和名の由来です。
小笠原固有種である【タコノキ】
沖縄に精通しているような方でしたら、『それ【アダン】でしょ?』って思うでしょう。
遠目に見たらアダンと同じに見えますが、ちょっと違うのです。
小笠原・タコノキと沖縄・アダンとの違い
タコノキもアダンも幹や葉っぱがトゲトゲしているのが特徴的なのですが、アダンのトゲは割と鋭く、それに比べるとタコノキは緩慢なようです。
幹のトゲ
タコノキの幹は、トゲと言うよりもブツブツ(笑)
触って痛いという感覚はなく、表面にポツポツとした『おでき』があるような感じですね。
アダンはもっと鋭く、ぶつかると痛い感じでしょうか。
葉っぱのトゲ
アダンもタコノキも、葉の縁がギザギザしていて触ると痛いです。
アダンの葉の写真を見ると、葉の縁から外側に向かってギザギザしていますね。
一方タコノキの葉の縁はやや斜めを向いて一方方向にギザギザしているので、葉先から根元に向かって触る分には引っかからず、痛くありません。
植物がトゲトゲするのって、外敵から身を守るためだとよく言われます。
沖縄は大陸から分離されてできた島なので、生存競争の激しい環境だったのでしょう。
【海洋島】という環境にある小笠原には敵がいなかったために、鋭いトゲを持つ必要がなかったのですね。
根っこが土の上にある!?【木根】
【タコノキ】の名前の由来となった、根元のタコ足。
これは【気根】(きこん)と呼ばれます。
地面より上にあるけれど、根っこの役割をしているのです。
一般的な植物は、しっかりと根を張ってから幹を成長させていきますよね。
でもタコノキは先に幹が伸びて、
『おっとっと、支えられなくなってきたぜ』
とでも言うように(!?)幹からビヨーンと枝が出てきて地面をとらえ、大きくなりすぎた自分自身を支えます。
そして地面にたどり着くと、土の栄養分や水分を身体へ送り込むのです。
・・・行き当たりばったりな生き方が、南の島っぽいですよね(笑)
島内周遊道路脇にもたくさん植えられているので、山の遊歩道に入らなくても見ることができます。
タコノキの実
タコノキには、ゴツゴツとしてパイナップルのようなカタチをした実がなります。
熟すとオレンジ色になるので、観光客の方から『あれってパイナップルですか?』ってよく聞かれます(笑)
ちなみにパイナップルは樹上ではなく地面に近いところでなるんですよね・・・
このゴツゴツをひとつずつむしり取ってナタ等で割ると、中に松の実のような種が2~3粒入っています。
昔は【ピー味噌】ならぬ【タコ味噌】を作っていた方もいるようですよ。
タコノキの花
【実】が鳴るということは花が咲くワケですが、タコノキの花にはナゼかなかなかお目にかかることができません。
花の咲いている時期が短いのでしょうか・・・
写真は、『タコの花って見たことないんですよねー』ってよく話していた頃に出会えたものです。
普段からちゃんと気にしていれば、出会えるっていうことでしょうか(笑)
その後に出会った別種・ビョウタコの花は、もっとふわふわでもこもこ、ちいさな白いマフラーみたいでした。
小笠原で見られるタコノキ・別種
見慣れない方にとっては同じに見えるかもしれませんが、小笠原には主に3種類のタコノキがあります。
ビョウタコノキ(アカタコ)
足元が大きく広がらず、コンパクトなタコ足です(笑)
葉の縁がやや赤みを帯びていることから、島では『アカタコ』と呼ばれるようになったようです。
こちらは小笠原固有種ではなく持ち込まれた品種で、街路樹として植えられています。
タコヅル
八重山諸島の【ツルアダン】とごく近い近縁種です。
他の木にグルグルと巻き付きながら成長していく様子は、戦いの厳しい野生のジャングルを思わせてくれますね。
山の中に入る遊歩道を歩くと見ることができます。
タコノキは蛸の木
【タコノキ】は【蛸の木】で合っていました(笑)
見た目は八重山諸島のアダンとそっくりだけど、小笠原の固有種です。
パイナップルのような実が南国イメージをより強調する風格。
街路樹としてもたくさん植えられているので、ツアー送迎の車窓から・宿近辺のそぞろ歩きで、ぜひ目を留めて見てくださいね。
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