オナガミズナギドリが運んでくる小笠原のクリスマス

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昨日(2020年12月13日)、小笠原・父島でのクリスマスイルミネーションが始まりました。

おがさわら丸の停泊する港の隣、【ガジュマル】というシンボルツリーであり島民の憩いの場にもなっている場所です。

母島では、父島よりも一日早い12日に始まっています。


<写真引用:小笠原母島観光協会ブログ【今日の母島】>

 

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小笠原のクリスマスイルミネーション点灯開始日を決めるのは海鳥!?

小笠原のクリスマスイルミネーション点灯開始日は、毎年異なります。

 

週末の日付が毎年違うから・・・?

島民の生活を支える定期船・おがさわら丸の入港に合わせているの・・・?

 

・・・どちらでもありません。

 

実はこのライトアップ開始日は、【オナガミズナギドリ】という海鳥の幼鳥の巣立ちが関係しているのです。

 

小笠原は日本で唯一の【オナガミズナギドリ】繁殖地!

<写真引用:小笠原自然文化研究所>

 

オナガミズナギドリとは外洋性の海鳥で、繁殖期以外は海の上で暮らしています。

日本で繁殖が確認されているのは小笠原だけで、母島の南崎と周辺の属島、父島では南島が大きな繁殖地となっています。

 

繁殖場所では親鳥が地面に穴を掘って卵を産み、幼鳥は穴の中で産まれてから巣立ちまでその巣穴で過ごします。

こうして穴の中で過ごした幼鳥は、11月下旬~12月中旬頃に巣立ちを迎えます。

 

小笠原での海鳥保護の取り組み


<写真引用:今日のレスキュー・小笠原自然文化研究所>

 

小笠原の集落では、飛び立ったばかり幼鳥が集落の灯りに誘引されて飛来し、街頭や建物に衝突するなどの事故が起こってしまいます。

<写真提供:宮城雅司>

オナガミズナギドリの巣立ちは夜です。
暗い海に始めて飛び立つ彼らは、光があるとそちらに誘引される性質があるのです。

<小笠原自然文化研究所・鈴木さん>

 

集落の灯りに吸い寄せられて不時着してしまった海鳥は、自力で飛び立つことが困難です。

なので、野生生物の保護活動をしている方々が彼らを保護し、怪我をしている場合には回復するまで面倒を見て、風のあたる海岸などから放鳥します。


<写真提供:宮城雅司>

父島ではNPO法人の【小笠原自然文化研究所】が、母島では【母島観光協会】及び【鳥獣保護員】の方々が、そういった活動を続けてきました

 

【小笠原自然文化研究所】では島民にこういった認識をさらに高めてもらおうと、東京都小笠原支庁に協力を要請して講演会を開催しました。

また飲食店にも広報の協力を依頼し、店からの帰り道に不時着した鳥を発見した際の連絡先を記したチラシを、店内に掲示してもらうなどの啓もう活動を行ってきました。


<写真引用:小笠原自然文化研究所>

 

こうすることで彼らの活動を応援する島民も徐々に増え、幼鳥の不時着情報も多く聞かれるようになってきたのです。

 

12月は忘年会やクリスマスライブなどで、夜間に街中を歩く人が増えます。

そういった方々から、自販機の隅や港のトイレ付近にうずくまっている幼鳥の目撃情報が寄せられるようになりました。

鳥類保護啓発を兼ねたクリスマスイルミネーション点灯式

NPO団体と村役場・電気屋さんや青年団の連携

父島の【ガジュマル】でクリスマスイルミネーションが始まったのは2010年。

12月の島内でクリスマスの雰囲気を盛り上げようと、小笠原村役場が島の電気屋さんと相談して設置されました。

 

世間では、10月31日のハロウィン終了とともにクリスマスイルミネーションが始まる昨今。

クリスマスの1ヶ月前には、その雰囲気を作り上げたいところでもあります。

でも自然に囲まれたここ小笠原では、人工の灯りが野生動物へ与える影響を考慮しなければなりません。

 

【小笠原自然文化研究所】は村役場の担当職員へ、【オナガミズナギドリ】の生態や保護の重要性を説明することから始めました。

 

このレクチャーを受けた担当職員の川口さんは当時、オナガミズナギドリについて詳しくは知らなかったそうです。

 

小笠原の野生生物といえばクジラやイルカ、アオウミガメなどに注目が集まりがち。

そのなかで、海鳥にとっても小笠原は大切な場所であるということを深く感じたと言います。

そして、12月の恒例事業となっていたクリスマスイルミネーションの点灯初日に【式典】のようなものを行い、海鳥についての解説も同時に行うことを考案しました。

 

 

この地域事業を知っている人が少ないんじゃないかと思ったので、広げていくにはイベントと合わせれば理解しやすいし、何より島の子供たちに知ってもらうことができると思ったのです。

<小笠原村役場産業観光課・川口さん>

 

島の子どもたちはクリスマスイルミネーションを楽しみにしているので、点灯式というイベントを開催すれば集まってくることは予想できます。

子どもたちが来れば、保護者もついてきます。

たくさんの島民に認知されれば、不時着した鳥を保護できる機会も増えるでしょう。

島の人が島の自然について知ることは、今後島を離れたり、戻ってきたり、島での仕事に就いたりする中で活きてくることだと、私は思います。
関係者間で協力しあい、鳥類保護啓発を兼ねたイルミネーションイベントを続けていくことによって、より良いサイクルが生まれることを願っています。

<小笠原村役場産業観光課・川口さん>

 

2020年のクリスマスイルミネーション点灯式は2部構成で開催

新型ウィルス・コロナの影響により、4月以降すべてのイベントを中止してきた今年もクリスマスが近づいてきました。

明るいニュースを耳にすることが希薄だった2020年。

せめてクリスマスくらいは、心に灯りを灯したいものです。

 

でも・・・イルミネーションが設置されるガジュマル周辺は広くないので、密になる危険性も。

それを考慮した今年は、【オナガミズナギドリのおはなし会】はこれまで多くのイベントが行われてきた【お祭り広場】で開催することとなりました。

海鳥の生態について、子どもたちにも理解しやすいように熱く語る、小笠原自然文化研究所の鈴木はじめさん。

海鳥への愛を感じるレクチャーです

 

手のひらサイズの【海鳥図鑑】も配布されました。

 

1時間ほどのレクチャーを終えて一度解散。

 

そして【ガジュマル】にほどこされたイルミネーションは、17時の鐘とともに点灯されました。

島のジャズ演奏グループによる、ミニコンサートも開催。

今シーズンは、2月半ばまでこのイルミネーションが島の中心部を彩ります。

 

 

この時季に小笠原へいらした方々がイルミネーションに心躍らせると共に、自然界を循環させている海鳥にも目を向けていただけたらうれしく思います。

みぃ
みぃ

みなさま、素敵なクリスマスと新年をお迎えくださいませ

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