小笠原神社、通称『貞頼神社』のふもとに広がる扇浦海岸
商店や宿の集まる大村地区・団地の立ち並ぶ清瀬地区から5㎞ほど、二見湾をはさんで向かい側に位置する扇浦地区。
いまは定期船おがさわら丸の入港する大村地区が産業の中心となっていますが、江戸幕府がこの島の開拓を始めた頃は行政の中心となっていた地区です。
『小笠原神社』があり、小笠原発見にかかわる石碑なども置かれていて、多くの歴史を語ってくれる地区なのです。
小笠原発見人力レースで、貞頼神社祭りを盛り上げよう!
大村地区にある『大神山神社』の例大祭は11月3日。祝日と重なり、住人も多いので大きな賑わいをみせるお祭りですが、『小笠原神社』の例大祭は毎年7月26日。
平日であり、周辺の扇浦地区は人口も少なく、ひっそりと行われている印象のお祭りでした。
20年ほど前、そんな扇浦地区に住みながら宿を始めた方のところへ、お祭りを仕切っていた地区の長老から扇浦のお祭りをなんとか盛り上げてほしいとの相談がありました。
そこで、その頃に住み始めた若手を集めての『小笠原神社例大祭活性化』の話し合いが行われたのです。
それまでは、神社で神事が行われたあとに神社ふもとの扇浦海岸でカメの煮込みや赤飯・ビールがふるまわれるだけだったので、なにかイベントを抱き合わせて人を集めようじゃないか、ということになりました。
相談を受けた『エコビレッジ・ぷーらん』 のオーナー・清水さんはシーカヤックのツアーを行っていることもあり、カヤックやサーフボード・シュノーケルセットなど、エンジンを使わないツールを用いて波打ち際から1kmほど先にある要岩を回ってくるレースを開催しようということになりました。
名付けて『小笠原発見人力レース』
人力レースへアウトリガーカヌーの導入とイベントの急成長
お祭りにレースを導入したことにより、以前より若者の参加者が増えてきました。
そして、扇浦地区を拠点にアウトリガーカヌーを用いたツアーが開催されるようにもなり、ツアー業者さんの協力を得て、レースに『アウトリガーカヌー』が導入されたのです。
エンジン音のない船でのクルーズは風や潮の流れを感じることができ、島の自然を満喫することができます。
4人乗りでのカヌーは、チームワークや船のコントロール技術も必要です。
チームを組んで呼吸を合わせてスピードを競うというところが多くの人を夢中にさせるようで、その人気は瞬く間に広がり、いまでは200人を超える参加人数となりました。
広い年齢層が参加、200人が集まるビッグイベント
5月に入ると週末には小学生向けの練習会が行われ、大人のチームは朝5時集合の朝練が活気づきます。
いつもは2、3台しか停まっていない海岸沿いの駐車場が朝の5時に満車、交通整理のスタッフを置いてコントロールするほどに。
タイムの縮小に力を入れて優勝を狙う、毎年同じメンバーで参加しているチームもあれば、アウトリガーカヌーを漕ぐという新しい体験を純粋に楽しむ初参加のチームもあり、年々盛り上がりを増しています。若者で活気づくその様子に興味を持って、シニア世代のチーム参戦も出てきました。
小学生のちびっこチームは、始終大人がサポートします。
まさに、老若男女入り混じっての大レース。
いまや、レース参加者は200名以上。
応援者や見物人、サポートスタッフを合わせると400名近くの人が、この小さな扇浦海岸に集まります。
レース当日は安全祈願の神事に始まり、海に捧げる踊り・小笠原フラが会場を華やげてのスタート。
本番まであと数日。
今年はどんなドラマが展開されるのでしょう?
夕刻の静かなビーチで、今シーズンのドラマを想うひとときです。
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