小笠原の郷土料理『島寿司』

郷土料理
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小笠原の代表的な郷土料理『島寿司』

海辺の観光地や島へ旅行に行くときに楽しみな食事といえば、地元で獲れた刺身やお寿司ではないでしょうか。

小笠原の郷土料理として、いちばんに挙げられるのは『島寿司』です。

 

島寿司のネタはカマスサワラ

サワラを醤油ダレの漬けにしたネタを甘めのすし飯で握ったもので、ワサビでの代わりにカラシを使うのが特徴です。

郷土料理は家庭料理でもあるので、つけダレは家庭によりさまざまでみりんの配合などは違いますが、私が初めて教えてもらった漁師のおくさんは、『生醤油でいいのよ』と言っていました。

確かに、
旦那さんの釣ってきた新鮮なサワラは油が乗っていて、生醤油にさっと浸けただけで旨みが引き出され、みりんや砂糖を使わなくても照りがあって、見た目にも美味しそうな仕上がりにできあがりました。

サワラといっても『西京焼き』に代表される種類とは違い、小笠原近海で釣れるサワラは『カマスサワラ』と呼ばれるサカナです。


<写真参照:ぼうずコンニャクの魚介類図鑑>

サワラの釣れない時季にはカンパチなどの白身魚が使われるようですが、サワラが手に入らない時には島寿司を作らないという飲食店も。

ネタをあらかじめ漬けにするのも、すし飯が甘めなのも、温暖な気候の島でお寿司を楽しむにあたり、傷みにくいようにと工夫された調理方法のようです。

 

島寿司の薬味はカラシ

初めて耳にした多くの方が『ワサビじゃなくてカラシってどうなのかしら?』と疑問に思うようですが、食べてみると、意外と何の違和感も感じません(笑)

カラシを使う理由については、ワサビを手に入れるのが難しかったからと伝えられていますが、19世紀に住み始めたアメリカ人の食文化の影響を受け、マスタードを使ったのが始まりではないかという説もあります。

私たち日本人から見ると、欧米人が使う調味料といえばハンバーガーやホットドックに使われるケチャップやマスタード。
『お寿司を食べようと思ったらワサビを切らしていたから、マスタードを辛みに代用しよう!』
とは、普通に日本で暮らしていたら思いつかないかもしれません(笑)
現在のような客船はおろか、電気・ガス・水道などのライフラインもなかった時代に本土から1000キロも離れた島へ移住してきた人たちは、考え方も柔軟だったのかもしれませんね。

もともと、島寿司は明治の頃に八丈島から伝えられたと言われていますが、いつだれが、という明確な資料は残されていないのです。

ちなみに
お刺身を食べる時にもワサビではなく、小粒でピリリと辛い『島とうがらし』を醤油の中でつぶして辛みを効かせたりもします。

刺身や寿司にはワサビ、の常識を変えてくれる食文化。

小笠原へ遊びに来たら、ぜひお試しくださいませ♪

 

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