新型ウィルス【Coviid19・コロナ】の感染初期の頃、ここ日本で感染者を急速増大させた要因のひとつに【大型観光船・ダイヤモンドプリンセス】の船内感染がありました。
【船】という、閉鎖された空間での感染。
海外でも運航している多くの大型クルーズ船が、予定していた寄港地からの受け入れを拒否。
そういったニュースを耳にしながら、小笠原島民は大きな不安を抱えていました。
なぜなら、小笠原への交通機関は定期船【おがさわら丸】ただひとつだから。
船が運航を止めてしまったら、食料をはじめとする生活物資が届かなくなってしまいます。
おがさわら丸の運航に生活を支えてもらっている小笠原島民は『船が来ないと困る』という気持ちと、『人口の多い日本の首都・東京竹芝桟橋を発着する船が保菌者を運んで来たら大変だ』という気持ちの中で揺れていました。
船の運航を司る【小笠原海運】と【小笠原村】の行政機関が一緒になって対策を編み出し、小笠原島民にとっての生活のかて【おがさわら丸】の運航を続けてくれています。
コロナの感染拡大が世界的に問題になり始めた3月半ばに、個人的緊急事態でオーストラリアへ渡り、空港閉鎖等によって帰国できなくなっていたみぃがやっと帰国できた7月上旬。
帰国後のPCR検査結果が陰性であっても2週間の隔離生活を強いられて、やっと乗船できた【おがさわら丸】
Go Toキャンペーンからも除外された東京と小笠原をつなぐ定期船・おがさわら丸での感染者予防対策がどうなっているのか、リポートします!
おがさわら丸の新型ウィルス・コロナ感染対策
乗船客数を制限
おがさわら丸の最大乗船客数は892名ですが、半分以下の400名ほどに制限しています。
乗船前の検温
乗船前、竹芝桟橋の船客待合所出口では検温が行われています。
これにより、体温が37.5℃以上の方は乗船をお断り。
そして、小笠原のマスコットキャラクター【おがじろう】もマスク着用の呼びかけを行っています。
いつもおがじろうと一緒の【メグロ】(世界中で母島にしかいない鳥)もマスクを着用しています(笑)
レストラン・ラウンジでのテーブル席閉鎖
レストラン・ラウンジではボックス席を閉鎖。
窓際のカウンター席もイスをひとつ置きにして、利用者数を減らしています。
喫煙室は利用人数制限
船内に3ヶ所設置されている【喫煙室】は、利用者人数を制限しています。
私は喫煙しないので入室したことはないのですが、【飲食禁止】になっているので、コーヒーを飲みながらの喫煙などはできません。
トイレや洗面所にはアルコール設置
トイレや洗面所には消毒用のアルコールが設置され、多くの飲食店などと同様に、エアータオルの使用は中止になっています。
密を避ける呼びかけ
船内あちこちに、密を避けるようにと呼びかけるPOPが掲示されています。
普段は外部デッキなどにゴザやレジャーシートを敷いて行われている会食も禁止です。
長時間の船旅の中で知らない人同士が交流できる、というのもおがさわら丸の魅力のひとつだったのですが、この渦中ではそれも難しいですね。
下船は等級ごと
どうしても人の往来が多くなりがちな船内の案内所付近には、大型扇風機を設置してさらなる喚起に努めています。
船内が最も密になりがちなのは下船時。
そこで、下船時は等級ごとに下船開始となっています。
船から港へ降りるタラップが装着されてからは、特等、一等、特2等、2等とという順番で、アナウンスがかかります。
それまでは、各部屋にて待機。
なので、下船開始1時間前から下船口付近に荷物を置いて場所取り・早めに下船、という島民&観光リピーターの下船技(!?)は使えません。
ちなみに【閉鎖されている感】の強い船ですが、空気の循環は常に行われています。
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コロナを恐れる小笠原の医療事情
たくさんのルールを決めて船が運航するのには、小笠原村の抱える医療事情にもあります。
小笠原村には、小さな【診療所】しかありません。
たとえ高熱の人が出ても、コロナかどうかをその場で判断できる体制はできていないのです。
緊急を要する患者が出たときには、自衛隊の飛行艇(海上に離着陸できる飛行機)を要請します。
そして、その診療所は高齢者施設と併設されています。
医師や看護師、介護士の方々が診療所内でどんなに気を使っていても、外からウィルスを持ち込まれてしまったら・・・?
高熱患者が出るたびに、自衛隊に救助を求めることができるのか・・・?
医療関係の方々の気苦労ははかり知れないものがありますね。
小笠原村が島外へ呼びかけた【緊急事態宣言】
小笠原は、世界自然遺産の島です。
その豊かな自然に魅せられて足しげく通う観光リピーターも多く、大型連休のときには船も宿も予約が激戦となります。
新型ウィルス・コロナの問題が大きくなり始めた3月下旬。
ゴールデンウィークという、お盆・お正月に続く最大の繁忙期の予約開始時期でもありましたが、小笠原村は【来島自粛のお願い】を島外に向けて発表しました。
宿や飲食店・お土産屋さんに海や山のガイドさん・・・島には、観光業で生活している方もたくさんいます。
苦渋の決断だったことでしょう。
でも、小笠原で観光業を営んでいる方々って、ほんとうにこの島を愛している方が多いのです。
だからこそ、一時の収入を確保することよりも、島に住む高齢者や子どもたちのことを第一に考えて、村の方針に賛同しました。
まとめ
小笠原がホエールウオッチングシーズンでにぎわうはずだった3月、来島者数は例年と比べて95%ダウンとなりました。
900人近い人数が乗船できるおがさわら丸の、今年3月の最小時の乗船客数は25名。
そんな少ない人数でも運航を続け、生活を支えてくれる船に感謝する島民からの寄せ書きが、船内に掲示されていました。
まだまだ先の見えない新型ウィルス・コロナの感染状況。
医療体制も貧弱のちいさな島・小笠原では、観光業者も観光リピーターの方々も、もどかしい気持ちを抱えています。
観光リピーターであればあるほど島の医療体制を理解してくれているので、『症状はないけれど、もし自分が保菌者だったら・・・』と考え、毎年楽しみにしている小笠原旅行を取りやめている方も多いのです。
少しずつ経済活動が再開され、再び【お盆休み】という大型連休直前のいま。
密になりがちな船、おがさわら丸の船内ってどうなっているのかしら?
そう疑問に思っている方が多いと思います。
そういった方々へ、新型ウィルス・コロナ渦のピークを島外で過ごしていま帰島に向かう私が、少しでも情報を提供できたらと思ってリポートさせていただきました。
小笠原は、自然が美しく輝く夏を迎えています。
この美しい島とそこに住む人、その自然や人に会いに来る方々が共にHappyであり続けることを祈っています。
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